北海道CUDO会員の集い 2014年9月7日

2014年9月7日 13:00〜15:00
札幌エルプラザにて
北海道CUDO会員の集い

参加者: 北海道CUDOより 谷越、徳中、倉内、栗田
    会員 11名 合計15名

前回の会員さんからお話をいただくという企画が非常に有意義な議論を呼び起こすことが分かりましたので、今回も三人の方にスピーカーとしてお話をしていただくように事前にお願い致しました。

■前回に話題になったこと
・眼科医の方々に働きかけてはどうだろうか?
・教育関係の方々に働きかけてはどうだろうか?
という2点について報告
●眼科医の方々については北海道眼科医会の田川会長に谷越さんがお会いして話をした。
・最近の動きとして文科省教育委員会→校長先生 という流れで「希望者には色覚検査をしますよという案内を積極的にするように」という通達がトップダウンで降りてきている。当然学校で「色弱」と診断される子どもたちが増えていくだろう。その子どもたちが眼科医を訪れ「精密検査」を希望するだろう。
 ・また眼科で色弱だと診断されたあと「では本人は・親はどうしたら良いのか? 何をすれば良いのか? 生活は? 進学は? 就職は?」という疑問・相談に眼科医が応えられない。それは北海道CUDOの役割ではないか? 診断後の受け皿として北海道CUDOの役割は大きいだろう。
 ・谷越から「北海道眼科医会で郵便物を会員さんに配る時に北海道CUDOのパンフを同封することはできますか?」とたずねた。その場では「たぶん大丈夫」との返答だったが、後に「一部の会員から『一部の団体のパンフを同封することは疑問がある』との声があり、今回は見送って欲しい」との返事。
 ・北海道CUDOは独自に北海道眼科医会の会員さん宛にダイレクトメールを発送することを決めた。
  ※追記: 北海道CUDOとしては「色弱とわかったら・・・」というタイトルのパンフ制作を決定。
      またホームページにも同様の内容を掲載することも決定。

●教育関係について
・谷越さんが以前に会っていた元北海道教育委員会の養護の今井先生から「養護の研修なら北海道CUDO」ということで講演依頼があった。
 ・札幌教育長が栗田の知り合いだったので訪ねた。色覚の多様性とカラーユニバーサルデザインについての講演のパワーポイントを見せると
  「これはイイネ。これを札幌の教員の研修で話してくれないかな?」ということになった。12/10ちえりあでの研修で講演することになった。
  札幌の小中学校教員対象300人参加。
 ということで少しずつですが前に進んでいますという報告でした。

各自・再度自己紹介の後にスピーカーの方にお話お願いした。
(1)スピーカーのOさん 36歳 札幌在住 D型弱度 会社員
折れ線グラフはとても見分けにくかった→太くしてポイントの部分の記号を変えた
    Officeというソフトウェアの中に色にカーソルを合わせると色の名前が文字で表示される機能がある。
    周囲には「私は色弱と言わないようにしていた。理由は言っても理解されないから」
焼き肉は苦手。生なのか、焼けたのか区別しにくい。
   小学校2年までは宇宙飛行士になりたいと夢見ていたが、検査を受けて色弱だと分かり成れないことが分かった。
青い景色、黄色い景色は濃淡がはっきり分かる
   
 Tさん: 逆石原式というのがあった。また、石原式検査表にも最後のページに色弱だけが読める数字があった。

 Oさん: 私が事務職をしている時は「きれいな色を使う」ということでカラフルにするのが求められていた。
 Tさん: 市役所の中では道新の記事などの効果もありむやみに色を使うというのはなくなってきた。
    みんな分かってきた。

谷越: 今の段階でカラーユニバーサルデザインという言葉は「聞いたことがある」程度。ではカラーユニバーサルデザインを何かに実行しようと
   するとなかなか難しい。今までで北海道CUDOの活動で数えてみたら8,000人くらいの人にカラーユニバーサルデザインということが
   伝わっていると思う。
   文科省教育委員会→校長先生という流れで、眼科医さんにも検査の必要性が伝わっている。色弱だと診断されたら次にどうしてら良いのか分からない。CUDOが受け皿になれる。

Tさん: 色弱は病気じゃないので、教育委員会の役割だと思う。
Hさん: 自分の子どもが色弱だと分かった時にお母さんが何も知らないと言うのが問題だ。
Yさん: 母親が分かってないと親が色弱の子どもをバカにしたような言葉を投げかけたりする。
   それはとても大変な事になる。無知は怖い。
武蔵さん: うちの子どもたちは三人色弱で学校の養護の先生がとても熱心で勉強してくれた。日本理化学工業のeyeチョークも使ってくれた。それと担任の先生が学校内の「掲示係」で宣伝活動のようなことをしてくれた。とても有り難かった。
養護の先生に紀伊國屋の資料を学校で配布してもらった。養護の先生が全員に色弱の検査をして色弱の子どもの親に連絡したところ、お父さんとお母さんと子どもの三人で来て「うちの子にいちゃもんつけるのか?」と文句を言いに来た。無知は怖い。

(2)二人目のスピーカー Aさん 54歳 D型の色弱 26歳の息子も色弱 24歳の娘。専門学校の講師
今まで生活してきて何一つ困ったことがないような記憶なんだけど・・・。免許も取れたし、生死に関わる困ったことはなかった。
でも一番困ったのは自動車の整備をしていた時に配線で困った。色の区別が大変。基本的に線の地の色が6か7色あり、その上に色で模様が載せてある。ラインだったり、破線だったり、斜めの縞だったりする。それで区別できるようにしている。それが180本もある。また12Voltと400Voltの線は確実に分からないと危険。全メーカー統一で色が決まっている。私は拡大鏡で色と模様を確認しながら作業をした。
その他は不便らしい不便はない。学校で色弱と言われたけれどC型がどのように見えているのか分からない。クレヨンは色で探さないで文字で探す。黒板のチョークは「書く時の音」で分かった。白は固い音、色つきは柔らかい音がする。青と赤は似たように見えた。私は自分が色弱だと公表していた。周りには色弱の人は居なかった。会ったことがない。公表してくれなかったんだろう。私は基本的に色ではなくカタチ・位置で記憶するようにしている。息子も色弱なので同様に色では探さない。カタチ・位置・文字で探す。私が中学の時には周りに居なかった。専門学校で授業しているが就職先の企業ではどうなのか? 自分で色弱かどうかを知らない生徒。8年間先生やっていて毎年80人くらいの大体男ばかりの生徒。居るはずだけれど手を挙げて「私が色弱です」とは言わなかったようだ。トイレ使用中、空きの表示。青と赤で小さな窓でカシャカシャと変える表示は分からない。

Tさん: 交通局にいた時代にはバリアフリーの時代だった。例えば誘導タイルは目の不自由な人には良いが、車いすには邪魔になる。全ての人にやさしいユニバーサルデザインではない。
徳中: 遺伝子の話ですが、Aさんと息子さんは遺伝子が異なる可能性がある。息子さんは奥さんの遺伝子を受け継いでいる。

(3)三人目のスピーカー Anさん女性 C型 父が75歳で色弱 息子が15歳で色弱
 小学校で私が石原式の色弱の検査をした時に「パパには最後の文字が読めるんだよ」と言っていた。色弱の人にしか読めない文字のこと。私はなにか特殊能力なのかなと思った。息子が産まれ、遺伝として色弱の可能性があるのは分かっていた。観察をすると、保育所で緑と茶色を混同している。人工芝を茶色に描く。などしていた。一斉検査はなくなっていたが、希望すれば検査が受けられるとのことで保健室で息子は検査を受けた。「色弱です。強いものではありません」と言われた。でも次にどうして良いのか分からない。情報がない。その時に「色弱の子を持つすべての人へ-20人に一人の遺伝子」に出逢った。2008年。北海道に引っ越してから2年か3年経った頃で北海道に書いた人が居るのに安心した。また最近読み直してスイッチが入り、パソコンで調べてこの会を知って、ブログを見つけてメールしたら丁寧なご返事をいただいた。2013年の春に入会した。色弱について知ることができる場があってうれしい。息子については、今、進行形でいろいろな事が起きている。とても有り難い。
 これまでの事を通じて感じているのは「色弱のことを知らない人の多さ」だ。学校の先生に「うちの子は色弱なんです」と言うと「何を気をつければいいのですか?」と聞かれ「チョークですかねぇ」と言われた。毎年色弱の生徒は居るはずなのに知らない。学校への働きかけはとても必要です。先ほどご説明を受けて安心した。15歳の息子に「何か困っていることない?」と聞いたら、少年団のバーベキューの時に焼き肉の色で困ったとのこと。本人は自然に自分の不自由を伝えているらしい。地下鉄路線図、トイレなどは色ではなく文字で判断している。

Aさん: これまで「自分も色弱だ」という人に会ったことがない。分かっていても言わないのか、分かっていないのか。言葉の表現は悪いが「車に酔いやすいんです」とか「苦手な食べ物があるんです」とかと同じように話できると良い。弱いところはフォローしてね。というように。

Yさん: スペインに行った時にスペイン語の先生が青黄色緑の区別のつきにくい先生が居た。自分は色弱だと平気で言っていた。北海道CUDOのパンフのススキノの例の写真の区別ができなかった。

倉内: 私は出版の仕事に関わっていましたが、会社では色弱の人が複数居た。会社では隠す必要がない雰囲気。営業と製作に。周りがサポートしていた。普通に受け入れられていた。私が前に勤めていた出版社で医学研究の雑誌を扱っていた。医学研究の分野は感覚的には7〜8%色弱だろうと岡部先生と伊藤先生は言っていた。業種によって異なると思う。

徳中: 今教えている学生に聞くと色覚検査も知らない、色弱という言葉も知らない。錐体とか桿体とか色の事を教える授業がある。義務教育で色弱の事を教える機会があると良い。色彩検定の3級の問題の中には色弱に関するものはない。

谷越: 色彩検定の2級から色弱についての問題が出てくる

Mさん: 教育の現場で感じるのだが、多数決は果たして良いのか? 少数派をつぶしてしまうのではないか? 色覚に限った話ではないが。

Yaさん: 私も色弱です。私は半導体の会社に勤めていた。そこで検査をするのだが色の変わりを見るという検査。それができない。どうしてできないかと上司に聞かれて自分の色弱の事を説明した。それがきっかけで結果として辞めることになってしまった。就職の問題は大きい。個性を知った方が将来のためになる。親・先生の理解も必要だが、石原式の検査で検査した方がよい。

谷越: 社会が変わるのには時間がかかる。私たちのゴールは色弱の人が何のこだわりもなく自分がP型だD型だと言える社会です。例えば「俺はP型なんだ」「じゃあ紫と青は見分けにくいな。わかった」という感じで色弱の知識をみんなが持っている社会です。それは必ず実現します。