第56回 北海道図書館大会 に参加させていただきました。

北星学園大学にて9/4〜5に開催された第56回 北海道図書館大会 に参加させていただきました。

私は第二分科会で「色覚の多様性とカラーユニバーサルデザイン」という演題で話をさせていただきました。

色弱が異常でも特異でもなく「少数派」であることをお伝え致しました。そして、誰にでも見分けやすい色環境を提案しているカラーユニバーサルデザインのご紹介と具体的な方法についてお話を致しました。

40名ほどの図書館に関係される方々に聴いていただきました。とても熱心に聴いて下さいました。
ありがとうございました。以下はその話のあとに出た質問です。ひとつひとつお答えしましたが、私の理解も浅く充分にお答えできなかったかも知れません。

質問と回答
Q 自分にも色弱の因子があるかどうかは病院などで調べたら判明するのか?
A おそらく今はできないと思います。遺伝子を調べないといけないので。料金はどれくらいかと遺伝子を研究している知り合いに聞いたところ、オーダーだからな〜料金は分からないと言われました。最近遺伝子を調べることができるようになりましたが色弱は今はメニューに入っていないです。
Q シミュレータでCPDT全て違って見えるのですが…実際の生活でも「それは茶色」「それは灰色ではない」と言われることがあります。
A ちょっとわかりません。。色については全ての人が一致しているわけではないです。言葉の問題になるかも知れません。
Q 建築家の方はみなさん、本日のような知識を持った上でデザインしているのでしょうか?
A 多分そのような方はあまりいないです。北海道に一人だけ理解のある方がいらっしゃいます。
Q CUDのガイドになる書籍やサイトなどがあれば知りたいです。
 (こういう組合せなら○/×といったこともわかるような)
A CUDOのサイトにも北海道CUDOのサイトにも載っています。私の本を読んでもらうとよくわかります(笑)。
CUDOサイト http://www.cudo.jp/ 
北海道CUDOサイト http://www.color.or.jp/
色弱の子を持つすべての人へ : 20人にひとりの遺伝子 / 栗田正樹著 ; 岡部正隆監修
http://www.library.pref.hokkaido.jp/wo/opc/srh_detail
Q 人よりももっと見分けられる鳥・爬虫類はどんな風に見えているのか?
A 例えば全盲の人は、ドアが開いたかを風の音でわかる。また、録音したものを5倍速でも聞き取れる。2ヵ所で話していても両方のことが完全に理解できるそうです。鳥や爬虫類はそんな感じでしょうか。赤・青で判断していないかもしれない。赤でも何種類もあるでしょう。
Q 今は就職時に不利になるようなことはなくなりましたか?(10年以上前に色弱(?)の友人がそのせいで消防と警察がダメだったと話していた記憶があります)
A 消防と警察は今でも×です。自衛隊色弱の弱度の人は入隊したと聞いたことがあります。絶対だめなのはパイロット、航海士(遠くの離れたランプの色を見分けないといけないので)。電車の運転士も弱度ならなれると聞いたことがあります。理解が深まって少しずつ条件が変わっているので最新の情報を仕入れてください。
Q ゴッホの絵をP型などのシミュレーションで見てみたいです。
(発表スライドで見せたゴッホの絵を表示)
ただしシミュレータで見てもあまりわからないかもしれないです。カメラを通してしまうと色が減ります。スライドだと色が違うかもしれない。一番わかりやすいのは実際印刷したものを色弱の見え方を体験できるライトに当てて見ることです。劇的に変わります。
Q 好きな色は何色ですか?
A 私ですか。実は赤が好き。僕の感じられるオレンジ系の赤が好きです。
Q 色指定するときはどのようにするのか?RGB指定?
A RGBで指定するか、デジタルの情報で指定するので困らないです。
Q 私は色弱ですがシュミーレータにかけた画像の色が変わらないのと変わったのがあるのは、同じ型にも様々な色の見え方があるということか?
A そうです。型が違います。他にも全色盲の人もいるし少ないがT型もいる。色弱の中でもセンサーの数で見え方が違うので同じ色弱でも見え方は多様。
Q 色弱者の見え方をどうやって再現しているのか?
A ヒトは色を見分けるセンサーを3つ持っているが、その3つのセンサーのうち、1本がずれているか1本が無い、という状態を再現している。そのあたりは東京大学の伊藤先生のホームページに詳しく載っています。
http://jfly.iam.u-tokyo.ac.jp/lab/colorresearch.html
Q C型が見る赤と同じ色はP型にはあるのか?無いという理解でOKか?
A そうです。無いです。色の世界がずれています。ある研究によるといわゆる正常な人を100人を集めたところ98人はいわゆる厳密な正常の見え方ではなかったそうです。正常だと思っている人もずれている可能性はあります。
Q 自分が色弱だといつ気づいたのですか?
A 僕の場合は上の兄が色弱でしたし、母が保因者ということを自覚していたのですぐにわかりました。
Q 色弱の方は信号の色や標識の色は分かりますか?運転は大丈夫なのですか?
A 大丈夫ですが見分けにくいものもあるようです。黄色と赤はC型よりも似て見えているようです。
Q 日常生活の中で最近感じた不便なことなどから,今一番改善してほしいことは?
A 僕の話ではないですが、田舎の信号で一灯だけ光る黄色・赤の点滅があるが黄色と赤の見分けがつかずに怖い思いをした、という人がいました。あとは圧倒的に赤地に黒・黒地に赤というデザインをする印刷物が多いが、見づらいので改善してほしいです。
Q 図書館を利用する中で不便に感じることはありますか?また,青と赤のシールを図書に貼って見分ける,持ち出し禁止のシールなどは見えにくいですか?
A 青と赤が見分けにくいということはないです。ただ、赤が目立つというわけでもないです。黄色と青だとC型の人と同じように認識できます。
Q 外国に比べて日本の標識等のCUD化は遅れていますか?
A 逆で進んでいます。色弱に関しては日本が一番意識が高いでしょう。石原式というテストが徴兵検査から継続して全国民にされ、健康診断でも使われていました。色弱への偏見も生まれましたが、色弱への知識や意識も生まれました。その後、シミュレーションの理論が確立され、コンピュータでシミュレーションができるようになり、CUDOのメンバーの医師の方々が科学的に説明してくれてカラーユニバーサルデザインが普及しました。日本はCUDの先進国でカラーユニバーサルデザインという言葉も日本で生まれました。
Q 保因者が成長して発症するということはありますか?
A ないです。
Q 板書事項で色チョークの使用をどうすれば目立つでしょうか?(Eyeチョークを学校で購入したほうが良いですね。道教委や市教委に要請したほうが良いですね)
A Eyeチョークは道教委・市教委には話をしたのですが、作っている会社が1社なので特定の企業の製品を教育委員会として推薦できないとのことで採用は×でした。ただし学校単位で話をしたり、色弱の子を持つお母さんが要請すれば採用してもらえます。値段も通常のチョークと同じです。
Q 図書館にある表示板を扱っている会社です。表示板を色弱の方が見ても分かりやすくするにはどうしたらよいか?
A シミュレータなどの道具があるのでそれでいったん確認をし、見えづらいものがあったら修正する、を繰り返すと良いでしょう。またCUDOで発表している「CUD配色推薦セット」を使用すればある程度間違いないです。検索すると出てくる。色弱の人でも見分けやすい推薦色があるので参考にしてください。 http://www.cudo.jp/contact/CUDrecommend_color_set
Q ホワイトボードのペンの色で見えづらいと思うものはありますか?
A 赤系が目立たないです。赤と黒の区別がつきにくいです。緑系(D型)の人は緑で書いたものが茶色だと思ってしまうらしいです。
Q P型,D型,T型の人の中でも程度の違い(強度・中度・弱度などのように)がありますか?
A かなりあります。僕は中〜強度。
Q 高校の教員です。○付けや添削のとき赤でしますが赤じゃないほうが良いですか?
A 赤のボールペンだと黒く見えてしまいます。一番良いのは赤のサインペン。朱色っぽいのでわかりやすい。あとはブルーのサインペン。ブルーのほうが私にとって目立つ。ただしC型はブルーのほうが目立たないので朱色の赤が良いかもしれないですね。
Q 図書館の表示板など色で判別しているものがあるが困っていることはありますか?
A 色だけで判別されるのは辛いです。何色の背表紙は○○、など色だけで判別するものは難しいです。知り合いの薬屋さんが在庫の管理を月ごとに対応する12色の色のみでしていたため、それが判別できなかったそう。仕組みを変えてもらえるとありがたい。色だけで見分けをつけるのではなく、色にラベルを付けてもらうなど。
文責: 栗田