11月19日 9:00〜10:30 北海道科学大学建築デザインコースの学生さんにお話

11月19日 9:00〜10:30 北海道科学大学建築デザインコースの学生さんにお話しました。知り合いの川人先生のご配慮で実現しました。約50人。とても熱心に聴いていただきました。4分の3はカラーユニバーサルデザインの話。4分の1は建築の絵の話です。

以下は彼らからの質問とそれに対する回答です。


色弱関連】
Q: C型の人たちの言っている色を理解し見えるようになったのはいつ頃ですか? またそうなるまでにどれくらい苦労しましたか?
A: 見えるようにはなりません。何となくこんな感じだろうと推測できるようになったと言うことです。そのために苦労したことはありません。それは苦労と言うよりは「興味」ですので。

Q: 好きな色は何ですか?
A: 鮮やかな赤(少し朱がかかっている)

Q: 自然現象(風や火など)を色で表現することがありますが、何色で表現しますか?
A: これは国によっても違いますね。自然現象の表現はその自然の状態によるでしょう。火は赤や黄色、時には青。風は黒・灰色・青・白などでしょうか?

Q: 日常生活の中で「これが見づらい」というものがあるか? 特に公共交通など
A: 農道などで「黄色の単独の点滅」の信号。黄色なのか赤なのかが近づくまで自信がありません。

Q: P型、D型はどう違って見えるのか?
A: P型 青系と紫系が似て見える。赤が暗く感じる。D型 緑系とオレンジ系が似て見える。赤は暗くならずに茶系〜緑系に感じる。このように言葉で説明すると、どんどん不正確になると思います。

Q: 色弱の方は青や黄色が見分けやすいとのことですが、逆に青や黄が見えにくく、赤や緑が見えやすいという方も居たりするのでしょうか?
A: それがいわゆる正常=多数派=C型です。

Q: 色の区別の方法に様々な方法があったのを今日は学んだ。
A: 色は本当に曖昧なものだと思います。

Q: 色弱にしか見えない色はあるか?
A: 「見える」というのは客観的な現象ではなく、主観的な現象です。電磁波が動物の色細胞を刺激し化学反応が電気信号に置き換えられ脳が「色」として認識します。「見えない色」という概念は「色細胞が興奮しない電磁波」という意味です。結論を言いますと「色細胞が興奮する範囲」はC型=D型>P型ですから、色弱にしか見えない色はありません。色弱の方が見分けやすい色の組み合わせはあります。


Q: カラーテレビよりも白黒テレビの方が見やすいのですか?
A: 誤解です。C型と比較してP・D型も見やすさには変わりありません。色弱の人にも豊かな色の世界があるのですから。

Q: 見やすい色と見づらい色を一言で言うと何色か?
A: 正確にいえば「見分けやすい色の組み合わせ」と「見分けにくい色の組み合わせ」です。
http://www.nig.ac.jp/color/gen/images/img_b17.gif
をご覧下さい。
Q: 具体的に何色が見えて何色が見えないのですか?
A: 質問が曖昧であり「上から目線」で答えたくない気分になる。なぜだか分かりますか?

Q: 花火とかどんな風にみえているのか?
A: 赤が暗く感じるか、又は鮮やかな感じに見えない。紫と青が似ている。黄色と緑が似ている。です。

Q: 虹とかどう見えているのか?
A: C型と同様にグラデーションは見えます。ただし次のような感じでしょうか?
http://www.cudo.jp/photo_archive2/pqzl48

Q: イルミネーションはP・D型の方の方がきれいに見えるのですか?
これも花火と傾向は似ています。赤が暗く感じるか、又は鮮やかな感じに見えない。紫と青が似ている。黄色と緑が似ている。です。

Q: 赤緑茶以外に見分けにくい色は?
A: 以下を参照して下さい。
http://www.nig.ac.jp/color/gen/images/img_b17.gif

Q: パステルカラーは全部分かりますか?
A: パステルカラーは色弱の人は見分けにくい色が多くなります。薄くなったり濃くなったりすると(彩度が低くなると)見分けにくくなります。

Q: 赤が何種類に見えるとは同じ赤がいろいろ見えると言うこと?
A: 鳥など四つの色細胞を持つ動物(ヒトの女性)はC型が一種類に感じる色を10種類程度に見分けられるという事です。「同じ赤」というのはC型にとって「同じ」と感じるだけです。

Q: 赤や青・紫が見えにくいと言っていましたが、何色が一番見やすいのですか? 色弱には何種類のタイプの人が居るのですか?
A: 「見やすい」「見にくい」のではなく「見分けやすい・見分けにくい」です。色弱には大きく4種類、P・D型の他にT型、A型があります。T型とA型は弱視を伴い、数も数万人に一人という少なさです。

Q: 色の区別がつかないものとつきにくいもの、つきやすいものの各共通点は何ですか?
A: 色細胞からの信号の合成(足し算・引き算)でヒトは脳で色を認知しています。その数値が一致すると「同じ色」に見えます。C型でもそのような色はあります。一言では言いにくいので以下を参照して下さい。
http://www.nig.ac.jp/color/gen/images/img_b17.gif

Q: 自分も色弱が入っていると言われていて色弱はどのような場面で活躍できますか?
A: 色弱だからと言って活躍できる場面があるとは思いません。その特性について理解し、C型との相違を知ることで、その相違を皆さんにお伝えすることは可能だと思います。

Q: 色弱のひとやそうでない人の中でも強弱はあるのか?
A: 色弱の強弱はあります。C型には強弱はありません。

Q: 色弱にも軽度はあるのか?
A: あります。強度の方の倍程度の比率です。

Q: ゴッホが描いた絵はシミュレーションできますか?
A: できます。

Q: 夜の時色弱だと困らないとはどういうコトですか? またどのように空が見えるのですか?
A: 仮説ですが「色弱の人にとって黒の地に青が目立つ」とすれば、夜の空は「黒に近い青」ですので黒の世界の中に青の輪郭が目立つと言うことではないかと考えています。「またどのように空が見えるのですか?」という質問を逆にC型のあなたに訊いてみましょう。P型の私に説明してみて下さい。あなたには無理です。それと同様に私にも無理です。この質問は無意識のうちに「C型が正しく、P・D型が間違いである」という非科学的な観点から出てくる質問なのです。

Q: 色弱が日常生活にどんな影響が起こるのか?
A: 多数派=C型によってつくられた色の社会によってさまざまな影響が起こります。

Q: オマキザルの話と保因者の話がありましたが人間がこの先進化の過程でP・D型が多数派になっていくことはありますか?またそうなった場合どう社会が変化すると思いますか?
A: 地球の環境の変化で遺伝子の淘汰圧力が変化すれば可能性はあります。例えば、夜行性になるなどです。今と似たような地球の環境ではそのような遺伝子の淘汰圧力は起きないと思います。

Q: 色弱の不便さなどは分かったが逆に良かったところは何ですか?
A: 少数派の気持ちを良く理解でき、多数派の過ちを良く理解できるところです。


Q: 色弱には遺伝的なものなのか、突然症状として出てこないのか? 老化によって色弱になったりなど
A: 一般的な赤緑系の色弱は遺伝的なもので、一生変わりません。網膜色素変性症などの後天的な病気による場合もあります。しかし、現象が異なりますので同じ扱いはできません。老化によって白内障緑内障などを発症します。両方とも色の認識は曖昧になります。緑内障視野狭窄もひきおこします。白内障は水晶体が濁りますのでガラスが曇ったように全体的に白っぽくなります。いずれも色細胞とは無関係です。

Q: 色弱のはじまりはどうやって起きたのか?
A: 仮説ですが、ほ乳類が夜行性として生き延びたので不必要な色細胞を2種類失ったというのが有力です。

Q: 色弱の方に対して、僕たち色弱でない人たちはどのような事ができますか? また何をしない方が良いですか?
A: カラーユニバーサルデザインを推進して下さい。C型・P・D型全ての色覚に対応した色づかいです。C型の人の色の見え方が正しいとは思わないようにして下さい。正しいのではなく多数派であるだけです。P・D型が困る局面ではサポートして下さい。焼き肉、紅葉、色で何かを見分ける時・・・・・などです。

Q: ゴッホの絵で奥行きがあるとおっしゃいましたが見えづらい色があり逆にC型のヒトが見えづらい色があると言うことですか?
A: 同じ電磁波の集合体を選択的に認知する時にシステムが異なります。その結果P型には奥行きが感じられ、C型には感じられないということです。具体的にはゴッホの絵には「赤系が影として使われている」「遠くの場所に赤系が使われている」これらはC型には影に見えないし、空間が歪んだように感じられる。「C型には苦手な黄色からオレンジ色のグラデーション、青から黒のグラデーションが使われている」のでそれらはC型よりもP・D型の方が奥行きを楽に感知できるということでしょう。

Q: 色弱の方の世界観も素敵だと思った。
A: これはちょっと「上から目線的な発言」ですね(笑)

Q: 色弱で就けない職業は何ですか?
A: 職業パイロット、鉄道の運転士、バスの職業運転士(一部緩和の動きあり)、自衛隊員(一部緩和の動きあり)、消防士(一部緩和の動きあり)、警察官(一部緩和の動きあり)などです。色弱が就いて本人が苦労する職業はもっと多いです。

Q: 色弱と言うことで苦労されることもあるかと思いますが、色が同じに見えることで例えばコンロのオン・オフが分かりづらかったり、非常口が分かりづらかったりと言うことはありますか?
A: どちらもありません。

Q: 何歳頃から自分が色弱だと自覚するのか?
Q: 色弱は何歳ころに気づきを始めるのでしょうか?
A: 人によってまちまちです。その環境によってもまちまちです。平均的には5歳前後ではないでしょうか? 色を使って絵が描けるようになったり、色の名前を言えるようになるからです。

Q: アプリの話の時に何年か前にニュースになっていたですがそれでしょうか?
A: たぶんそうです。

Q: 色弱と知って一番自分が優れていると思ったことは何ですか?
A: 色弱と知って一番自分が優れていると思ったことなど特にありません。質問の意味が不明です。

Q: 全てモノクロに見えているヒトも居る?
A: 昔は「全色盲」今は「一色覚」CUDOでは「A型」と呼んでいます。色細胞を持たない型です。明暗の信号を受けとる桿体細胞だけですので昼間は非常にまぶしくサングラスなどで防御します。逆に夜は何事も非常に見分けやすいとの事です。

Q: T型は何?
Q: T型はどんなヒトの事を言うのですか?
A: S錐体、M錐体、L錐体のうち S錐体のタンパク質を持たない型です。青みを感じる色細胞を持たないために青み付近の色の判別が就きにくいタイプです。

Q: 型の正式名称は?
A:以下です。
2004年以前の眼科用語/現行眼科用語 /CUDOの呼称
色盲/1色覚/A型
正常3色型色覚/正常色覚3色覚/C型
第1色覚異常/1型色覚/P型弱度
第2色覚異常/2型色覚/D型弱度
第3色覚異常/3型色覚/T型弱度
第1色盲・赤色盲/1型2色覚/P型強度
第2色盲・緑色盲/2型2色覚/D型強度
第3色盲・青色盲/3型2色覚 /T型
第1色弱・赤色弱/1型3色覚/P型弱度
第2色弱・緑色弱/2型3色覚/D型弱度
第3色弱・青色弱/3型3色覚/T型

Q: 割合的に男性の方が多いのか?
Q: 女性の色弱の割合は少ないのか?
A: はい、日本では男性の20人に1人、欧米では男性12人に1人、アフリカでは男性25人に1人と言われています。女性は男性の4%です。

Q: シミュレータ映像でなおしているが目によって変化しているのか脳の認識によって変化しているのか?
A: 質問の意味が分かりません。

Q: 暖色と寒色の感じ方の違いをどう利用すればお互いにプラスのイメージのデザインになるか?
A: 何に関してなのかによって「プラスのイメージのデザイン」は異なります。質問が曖昧です。

Q: C型のように見たいと思ったことはあるか?
A: あります。しかし、それは遺伝子的な治療以外はありませんので危険は冒したくはないですね(笑) その結果として何が起きるのかは予想できません。

Q: C型・P・D型・T型と4種類あるとおっしゃっていましたがどのような色の使い方をしたらできるだけ多くのヒトのブラスになると考えていますか?
A: 「多くのヒトのブラスになる」という言葉の意味が曖昧です。「多くの人が見分けやすい色づかい」というのであれば、それこそが「カラーユニバーサルデザイン」です。

【建築関連】
Q: 色弱がどうのこうのと言うより、正直、絵が上手でした。
A: ありがとうございます。

Q: もんすけのCM「自然を表現する」と言われ草の動きにしか目が行かなかった。後の説明で雲の動きや腹・尾の動きと言われ、まだ自分に観察力、デザイン力が足りないと思った。
A: 私の場合には事前に全部をつぶせません。映像を観てから何度もなおしました。たぶん、どのような映像でも自然に見えるためにはかなりの苦労をしていると思います。

Q: 栗田さんにとってデザインとは何ですか?
A: ある問題を解くための思考・経路を形にして実現する時に分かりやすくすること。かな? 単に「カッコ良くしてね」ではないのは確か。政策立案、道路計画、手術計画、などもそうだと思います。ものや理屈ができる前に充分に考えて「この方法で行こう」と決める段階のこと全てかな? 決して「デザインは感性」とか言わない。言っているヤツは信用できない。理性で考え尽くして、その後に「ひらめき=天啓=インスピレーション」が降りてくることはあるので、それはデザインではなく「インスピレーション」です。

Q: ラピュタ好き?
Q: ジブリ好きですか?
Q: ジブリは好きですか?
A: はい、まあまあ好き。

Q: 世界が広がりました。ただ感謝です。
A: こちらこそ、ありがとうございました。

Q: 絵がうまく見えるような色の塗り方はありますか?
A: 質問が曖昧です。

Q: ボールペンのドローイングの時、あたりをとったりするのか?
A: しません。少しずつ描いていくので必要ないのです。

Q: スケッチなど絵が上手になるにはたくさん練習しているのですか?
A: はい、たくさん描くと少しずつ上手になります。

Q: スライドの最後の絵は何かを見ているんですか?
A: 何も見ないで、浮かんでくる風景を紙に移し撮るだけです。あぶり出しのように風景が出てきます。

Q: 風景画を描く時のPOINTや意識しているところは?
A: 特にありません。何も考えずに描きます。

Q: 100万円何に使ったのですか?
A: その後個展をしましたが、絵を布に印刷する費用に使いました。

Q: 模型は何でつくったのか?
Q: 模型をつくるときは何でつくっているのか?
A: 紙、ボール紙、フォルモ(石の粘土)に木工用ボンド混ぜたり、細い木材、竹材、細いものは歯ブラシの先端とか何でも・・。

Q: スケッチのコツをお願いします。
A: 透視図法を何度も描くことをお薦めします。それを描いていれば自然と理屈も分かりますし「変な間違い」にも気づきます。

Q: 自由な建築は一体どこから考えているのか?
A: 考えません。ひたすら描いて「インスピレーション」を受けとります。

Q: 絵はどのくらい描いてきたのか? 枚数
A: 学生の頃は1日に10枚くらいは描いていました。もっと粗い物ですが。今はほとんど描きません。年に20枚くらい? 風景画のようなものは今までに150枚くらいかな? 墨の絵は1日に100枚くらい描きますので、今までに千枚近く描いたと思います。色の絵は60種類くらいありましょうか? 絵描きとしてはあまり多くないと思います。

Q: どうやってアクセサリーの仕事をすることになったのか?
A: ある人との出逢いで、何となく・・・自然の流れで。

Q: デザインをすることになった経緯は?
A: 小さな頃からカーデザイナーになりたかった→でも色弱で受験できず千葉大学工業意匠学科断念→北大の建築に行こうと→テニスばかりで成績が悪く断念→でも早稻田の建築に入り直して→建築の設計を仕事に(ここでデザイナーになってます)→その後ソフトウェアのマネージャなどを経て→アニメ会社のオペレータ→その後アートコンペに入賞して絵を描いたり、売ったり→何となくデザイナーになった。

Q: 考えたこともないことがたくさんあって興味がありました。
A: まだまだ皆さんは若いですからね。

Q: 日常生活の中で体験した中で将来の仕事に活かせることはありますか?
A: 意識すれば全ては活かせると思います。答えは「何でも」です。

以上。栗田マサキ