2015/8/8 北海道CUDO会員の集い

2015/8/8 会員の集い

 前々回の会員の集いの話題として、教育関係に対する普及啓発が足りない、眼科に対する普及啓発足りないよとのお言葉いただきました。それを受けて、私たちも働きかけをしています。養護教諭の先生方の勉強会や眼科の先生方への情報発信など続けています。成果は徐々に上がっています。

今回も2人にお話お願いしました。

Tさん: 最初に30分程度お話します。北海道CUDOに入会したのは8年前です。お客様の会社(北海道CUDO理事のWさんの会社)に行った時に見た「ススキノ」の2枚の写真。机の上に置いてあったのがはじまり。その後、東京の地下鉄の路線図の話も聞き。普通の人が見てもごちゃごちゃなのに色弱の方が見るとさらに見づらい。ワケが分からなくなる。それがきっかけで私にも何か役に立てることがあるのかなと入会。その後はあまり出ていませんでした。専門的な知識はほとんどないです。本日は皆様との距離を縮めようと思ってクイズつくりました。

色のクイズ
1 信号機の赤は縦型の場合には一番上、横型の場合は一番右にある ○ 目立つ場所に赤
2 流行色はインターカラーという委員会で1年前に決められている × 2年前
3 闘牛の牛は闘牛士の持つ布の赤い色に興奮している       × 牛は色弱なので赤い色は目立たない
                                  ひらひらしているので興奮するらしい
4 化粧品のパールカラーに使われているのは太刀魚の皮である ○ 太刀魚はウロコがないらしい
5 ホッキョクグマの皮膚は白い               × 実は黒い皮膚
6 ホッキョクグマの毛の色はピンクである          × 透明
7 自動車のタイヤの色は世界共通黒い色である   ○ カーボンブラックという物質を混ぜると丈夫になるので黒
8 宇宙はカフェラテのようなライトベージュ色をしている ○ 星の色を全部混ぜるとそんな色
9 カラスは色の3原色の他に紫外線も見えている ○
10 ウサギの目が赤いのは網膜が透けて見えているためである ○
11 白目が露出しているのは人間だけである ○ 他の動物は見ている方向を敵に悟られないために黒目だけみえるようになっている。ヒトは狩りをするのにコミニュケーション(アイコンタクト)が必要なので白目を互いに見えるようになったとの説
12 世界で最も愛されている色は緑色である × 正解は青 2番目は紫→国によって異なる

その後、いろいろと勉強していたら、実際の色弱の人たちが感じている気持ちとして掲示板を発見。「ガソリンスタンドでの給油で、店員が見送りする時に懐中電灯の先に赤い筒のようなもので誘導する。赤い色灯が見にくいとの書き込みを読んだ。男性の5%が見えにくい指示灯を持って、走ってくる車の前に飛び出すのは危険。知らないから危ないことが分からない。

Nさん: それは、P型に限った話で、D型は見える。色弱の3分の2のD型では当てはまらない。

Tさん: その他、文章を校正する時に赤の訂正は見づらい、オレンジは見分けやすいらしい。そのためには赤→オレンジのボールペンを使えばイイじゃないかと思いました。また、掲示板で、息子が色覚検査で異常と言われた。それを姑に知られた。すると「あんたの家系の血をひいた。孫の将来もない」と言われた。怒られた。父も色弱だった。父が済まないと謝りました。というような書き込みがありました。私が色弱だと分かった時、母は自分自身を責めていました。子どもの私に責める気持ちがなかったかと言われると・・・。私の娘に受け継がれている色弱の遺伝子。娘は保因者なので色弱の相手との結婚では色弱が産まれる確率100パーセント。

谷越さん: その場合の確率は100%ではなく50%です。女子は色弱になるか、保因者になるかの確率が50: 50です。

Tさん: 思ったのは、それぞれのページ。同じ境遇、同じ経験を共有できるとということです。例えば、無神経な質問「この色は何色に見えるの?」というような事を話をできる。「色弱の事を大勢の人にちゃんと知ってもらいたい」「理解してもらう」。僕は浅い知識の中でカラーユニバーサルデザイン機構さんのやっていることは意義のあることと思います。私もちゃんとやっていかなくてはなぁと思いました。多様な色覚を持つ人に正確に情報を伝えていく。社会全般に対して伝えていくこともカラーユニバーサルデザインに含んでいるということも素晴らしい。媒体にして情報を伝えていく。それも大変に素晴らしい、継続も素晴らしい。継続、応援、見る人。是非これからも頑張って下さい。

谷越さん: ありがとうございました。

TKさん: 役所で仕事していた平成二年。コンベンションセンターの前段階で、ユニバーサルデザインについて。当時雑誌で知って。バリアフリーのまちづくりを目指しましょうと勉強した。目の見えない方を誘導する黄色のポチポチのついたタイル。これが車いすにはバリアになる。全ての人にというのがユニバーサルデザインと学んだ。このたびオリンピックの国立競技場で、総理大臣が質問に答えて「ユニバーサルデザインするよ」と言った。時代は変わったなと思いました。そうなれば良いですね。今年の春、国会で女性議員が質問した。「東京オリンピックユニバーサルデザインにもちろん配慮しますよね」→「もちろん配慮します」との答えだった。東京CUDOでも動いている。

Sさん: これから勉強したい。気になるのはススキノの写真がきっかけでCUDOを知ったということ。ある会社にあった。会社の目的は? 何だったんですか? 

谷越さん: CUDOの理事の渡部さんのところにパネルを張っていてくれた。2006年からはススキノのサインもかなり変わりました。当時は私が撮った。今のススキノはLEDになりました。

Aさん: 自分の所のスタッフがもしかしたら色弱かもということがありました。一年前に入ったスタッフ。何度か気になることがありました。例えば、植物の色をグリーンで塗る時、黒っぽい色にしたり、クリーム色の植物にしたり。本人には気がついているのかなと思って、色のシミュレータとかダウンロードしてとか言ってみた事がある。色弱のことを調べてみたらとは言ってみたが、その後私はフォローしていない。
 私の場合には比較的すんなり聞くことができたが、色弱の事を分からないで、掲示板の話じゃないけど。どういう対応してしまうのかな? と心配になりました。知り合いにも設計事務所に勤めている色弱の人がいる。人には言わずに仕事をしている。どのような言い方をするのが良いのか。色弱という言い方が今の段階では適切でしょうか?

谷越さん: 今は色弱という言葉かな? と思います。

Hさん: いろいろな個性の一つでね。という前提で話をしたら良いのでは。それより、母親が色弱のことを知らない。その方が大きな要素かな。

谷越さん: では、第2部。AKさん。よろしくお願いいたします。

AKさん: 人前で話すのは不得意。書いてきたものを棒読みします。我が家の次男坊。Iちゃん。1年前の夏休みに色弱の検査をしてD型の強度との診断。彼にも色弱であることを話しました。色弱と向き合い一年。まだまだ知識もない状態ですが暮らしています。学校に入ってから目に見えて支障が出てきました。先生が「赤い字の所を書くんだよ」というのが分からない。彼の絵に対してどよめきが起きたり、その絵に対して「間違っているよ」という言葉が出る。朝顔の観察では葉っぱを茶色に塗ったりした。絵日記、外堀の水、深い緑を暗い緑→黒く描いた。黒の上にボート乗せた絵。私たち親はIちゃんにはIちゃんの見え方があるとクラスのみんなに知ってもらいたいと担任に頼んだ。クラスのみんなに知ってもらう方がいさな自身がつらい思いをしなくて済むのではないかと考えました。隠すことでもないですし、世の中には色弱の人がいるのをみんなにも当たり前に知って欲しい。担任の先生に言いました。担任の先生の考えもあり、検査が廃止されているのに「生活上困ることもない」のに、わざわざみんなに知らせることもないのではないか?と言われ、なかなか前に進まなかった。私たち親とは平行線。たまたま、養護教諭の研修会に養護教諭さんが参加。CUDO、谷越さん、栗田の講演会があり、それがきっかけで、私も相談に乗っていただいて、CUDOに入会。谷越さんに相談した結果、何と学校に来てくださいました。忘れもしませんが1月20日。大雪、学校に出向いてくださって。クラスの一年生に話をする時にどう配慮したら良いのか相談にのってくれた。説明の時に、Iちゃんがその場にいるのが良いのか? どのようにとか。結論として、当日は養護教諭からみんなに伝える。内容は養護教諭の先生が考えてくれました。彼は別室待機。給食の準備でざわざわしている時に目立たないように戻るという段取り。

養護の先生からの話は
みんなに大切な体の話だよ。お腹の赤ちゃん。背の高い人、低い人、外から見て分かるその人らしさ。見た目で分からないその人らしさ、食べ物の好き嫌い、その他。体にも見た目で分からないその人らしさ。耳のきこえない人。聞き取りづらいことを周囲に伝えて敢えて。目の見え方。

口頭だけだと分かりにくいので、写真を2枚用意して、ととっちとつっくん、似ているね。マジックの写真。2枚見せて紹介した。最後に注意点。

Iちゃんに対して、違うよ、ダメだよ、あれこれ聞かない。周りの人に違う見え方をするんだってとか言いふらさない。Iちゃん本人が聞いてきた時だけやさしく教えてね。と言いました。いつも通りに過ごすこと。3回繰り返し。養護教諭の先生からの話は終わりました。質問タイムは何も出ませんでした。
 私の率直な印象としては子どもたちはほとんど理解していないなと感じました。オブラートに包んでというのと、いろいろと話をしたので子どもたちは「色弱のことだけ」とは掴めなかった。子どもたちポカーンでしたね。もっとシンプルに言葉少なく、分かりやすく伝えた方が良かったかなと思います。一年生。これで全部。マジック、同じ。見比べがとっても難しかったかな? 何だろう? という感じでした。反省はありましたが導入としては良かったかな。何度も何度も話していければ良いなと思っています。

その後、次の月に賢い女子から「Iチャンは黄色と青はみんなよりよく見えるの?」「みんなと一緒やで」と答えた。谷越さんに訊いてみたら「C型よりもはっきり見えるようだよ」との答えだったので、翌日に「みんなよりよく見えるようだよ」と訂正した。その他、男の子が「俺はピンクが黄色に見えるんだ」と遊びで言っているのがあったので、それは先生から指導してもらいました。
 みんなに話すにあたって障害は担任の先生の理解でした。また一年生に伝えるにあたって参考になる資料がなかったので、よいものが欲しいな。と感じました。年齢に合わせた何かパネルやマニュアル。いつでもお貸しいたします。のようなものがあれば先生にもいつでも使えると思います。
 その後は、クラスの中で先生といさなの色のやりとりがオープンに行えるようになった。先生これ何色? こっちの色使った方がイイよ。とか周りを気にせずに行えている。前とあとでは変わったことで、Iちゃんにとっても先生にとってもクラスのみんなにとっても良い環境になったなと感じています。

最近のIちゃんの様子。幼稚園の時にはクレヨンの黒一本で描いていた絵。黒しか使わなかった。学校に入って二年の5月、緑の地面、訂正のつもりか、茶色を塗り足している。終業式の日に図工の時間に好きな楽器を作ろう。段ボールと輪ゴムでギター作った。楽しく弾いていた。数日後部屋に転がっていて、ギターはギター色に塗ったかなと。Iちゃんが「木は黄緑色やろ」と勘違いして言った。葉は緑だけど、木は茶色だよと教えるのを私が忘れていました。彼は「えーそうなの?」と明るく踊りながらどこかに行きました。毎日が色との戦い。かき氷。ブドウ、ブルーハワイ、トマトも蒼いけどできたと言ってとってくる。絵も成長している。キャンプファイヤー。下は緑。みんなが見ている色をすごく意識していて合わせようとしている。雑草は見たまんま塗っているのかな? そんな様子を見て可愛いなと思います。

谷越さん: 一年生になる時。言った方がイイのかな。と聞かれる。一般的にはお勧めしない。この話をしていると一年生に理解していただくためには難しい分野を話をせざる得ない。ところが青木さんのように親御さんも本人も言って欲しいというのは初めてのケース。担任の先生が理解していないためにクラスに言えなかった。たまたま養護の先生が話を聞いてくれて話が前に進んだのです。

栗田: 一年生のみんなが「ポカーン」としているのはしょうがないだろう。単純に説明するのは誤解が産まれるし、丁寧に説明するしかできない。その時には理解できなくても、年齢があがれば「あの時に、養護の先生はこういうことを言いたかったんかな?」とぼんやりと思い出すかも。今の段階ではそれが精一杯かなと感じます。単純に説明すると子どもは単純な理解しかしない。「なんか、大事で難しいことだな」という印象が残れば良いと思います。六年生になるまで、その後のフォローがより大切になる。

谷越さん: 大事なのは深刻にならないことではないか? 親のこころの動きが子どもに伝わるのではないか?

Hさん: 当時有名な栃内先生に絵を習ってた。みんなには色がおかしいと言われることもあったけど。栃内先生は「ユニセフにお前の絵を送ったぞ」とか言ってくれて、弟も賞をもらったりして・・・心配要らない。

Aさん: みんなと同じ絵を描くというのは逆に「もったいないな」と思います。見たままの色をそのまま描く。一般の人の見ている色が正しいわけでもないし、他の人が描けない絵を描けるのだから、無理に矯正しなくても良いのかな? と思いました。みんなに親がこんなに努力しなくてはならないのは不自然かな? 学校の先生が分かっていれば、こんなに苦労しなくて良いのかな? 説明は特別なことに子どもたちは感じるのかな? 幼稚園のうちから、違った色づかいを誉めるとか、いろんな見え方、いろいろに感じるヒトも居るよ。先生が普段から話していても良いのかな? 改めてクラスのみんなに説明するという場を持たなくても良いのではないかなと。

谷越さん: 子どもに関する話、石狩の子ども祭り。出展してくれないか? という依頼があり実現しました。 本間さん。一言お願いします。

本間さん: 石狩の子ども未来館でCUDOのイベントをPRして来ました。イベントの担当の方は「何かしたいけど、子どもに対してどうして良いのかわからない」ということでした。ブースを皆さんに相談しながらつくり、当日説明しました。その内容はブログにアップしました。子ども向けにパリアントールで体験。大人には学校の検査しなくなりましたと説明。今でも色弱の人はいますよ。でも分からない、見つからない。カラーユニバーサルデザインを知ってもらうために分かってもらうためのものを設置しました。
子どもが50人くらいCUDOのブースに来場しました。子どもたちの反応は単純に「違う人居るんだ」というくらい。小学校低学年は「良く分からない」高学年になると「何が違っていて、何が困っているのか、充電器のパイロットランプ、チョークの色、とか理解できる。高学年になって初めて理解できる感じです。
 伊藤啓さんの監修した絵本。買ってきて見た。色の名前が全部描いてある。色弱の子は名前を覚えていく。一つのツールだな。言い間違いをしなくて済む。木の色は茶色。グレー? 科学者らしく描いてあります。みんなと同じ絵を描かなくても良いけど、嫌な思いをするよりはこれも一つの手であるかな? と考えました。

谷越さん: 最近「子ども」というキーワードが来ています。子ども向けの絵本はどうかな? と思ったりしています。

TKさん: 多数派が正しいということではないという認識が拡がってきた。12年前に廃止された検査。ところが小学校でやっているところもある。プレゼンする対象として一番の矢面に立っている学校の先生が良い。彼らはカラーユニバーサルデザインのことを知ってくれた瞬間に味方になります。PTAの研修会も良いかな。行政が動くには、いかに上手にプレゼンするか? 例えば低学年向けに検査をこのようにしてやれば良いとマニュアルのようなもの作ってやらなくてはならない。

谷越さん: いま、養護の先生からの依頼がたくさん来ている。

Sさん: 研修、職員、先生。自分の知識だけでは足りないので・・・。いろんな見え方。教室、掲示物、色の使い方。知識がなくて見づらいものもたくさん? 一年生は担任の言葉に反応する。一年生に話をした中で、いろんならしさがある。という説明はイイなと思いましたが、ただし、外から見て分かるらしさ。見た目で分からないらしさ。二つに分けなくてもイイのかなと思いました。らしさを区分して括らない方がイイのかな。と感想を持ちました。

TSさん: 卒検で絵本を作ろうとしています。配色、内容も色弱とカラーユニバーサルデザインに触れるものにしようかな? と考えてる。今回の話、すごく参考になります。まわりの人がちょっとでも分かっているのと分かっていないのは違うと思います。

谷越さん: 本日もたくさんの貴重なお話をありがとうございました。今後の活動の指針にしていきたいと思います。